我が家のペット

紫波郡医師会 せき内科胃腸クリニック 関 英政

『猫と暮らす』

グリとジジは姉弟です。グリは雉トラ、ジジは黒猫、10歳。人間の歳で言えば55歳くらいでしょうか。近所にいた生粋の野良猫を動物愛護団体が保護(拉致?)したところ、お腹にこの2匹がいたというわけです。生後3ヶ月ほどで、縁あってわが家にひきとられることになりました。野良猫として育ってはいませんが、この3ヶ月の間に親猫からは野良猫教育をバッチリ受けていたらしく、わが家にきてもヒトからは逃げる、触ろうとしようものなら、シャーッと威嚇攻撃とともに猫パンチ。風呂場に隠れては、真夜中になると出てきて、眼を輝かせ、壁やカーテンは言うにおよばず、家中のあらゆるものをガリガリひっかき、所かまわず走りまくり雄叫びをあげ、まさに野良猫の本性を発揮していました。

こんなグリ、ジジも飼い猫修行の甲斐あって、歳を追うごとに少しずつ人間と共に生きることを学んできています。いまではエサをねだって擦り寄ってきたり、あまえた声でヒトの気を引こうとしたり、ベッドにもぐりこんでは、体が触れるか触れないかの微妙な距離を保って丸くなって眠っています。そうかと思うと、エサが気に入らなければ砂かけ行動、撫でてやろうとするとするりと逃げてしまう。猫というやつはまったく魔性の生き物です。いつの間にかわが家の主といった顔で生活しています。

グリとジジは姉弟でありながら性格も違います。グリは神経が鋭敏であるだけに気むずかしくて、わがままで贅沢。ジジはお人よしであると同時に行動が何となく無骨で素朴。日がな一日2匹の行動を観察しているととても楽しく、幸せな気分にひたることができます。猫の表情は、いつもどこか訳知り顔です。ですからヒトは自分の気持ちを仮託しやすい。ヒトに言えないことを猫に話してみたり、ストレスを抱えている時、猫がいると癒されます。猫もヒトの気持ちが分かるのでしょう。彼らは何も言わずジッと見つめるだけですが、全てをお見通しといった顔つきです。

結局、猫好きのヒト達は猫を飼っているつもりでも、しなやかな四本足の友達に家を乗っ取られ、彼らの気まぐれや好みで家はいいようにされているということに気づくのですが、そのことに大いに満足しているのでした。

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グリとジジ
グリとジジ