あとがき

紅葉燃える季節を迎えました。今号「2013 autumn91」の表紙は燃え上がるような花、曼珠沙華です。秋の訪れを告げる花であり、また、「赤い花なら曼珠沙華 阿蘭陀屋敷に雨が降る…」の歌詞で始まる「長崎物語」を思い出す方もいるでしょう。佐藤護人先生、素晴らしい写真をありがとうございました。

「人物クローズアップ」今回は北上医師会の千田恵美先生です。先生は絵の才能に優れ、病気の症状や対処の仕方を漫画で描いて、それを地域医療に活用しているという事が良く分かりました。「『更年期のちょっとした変調を重い病気にしないよう、かかりつけ医としての責任を果たしたい』。千田医師が漫画を描こうと思ったのはそんな思いからだった」と読売新聞に紹介されました。また、野球にも熱を入れておられ、岩手県医師会親睦野球大会でその勇姿をご覧になった方もいらっしゃる事と存じます。千田先生の今後の益々のご活躍を期待しております。

今号の「我が家のペット」は「猫と暮らす」を紫波郡医師会の関 英政先生に、「COLUMN 一灯」は「終末期」を二戸医師会松井美紀夫先生にご投稿いただきました。ご協力ありがとうございます。

一度、決着したはずの医学部新設問題が、再び騒がしくなりました。「復興特区」で宮城県に医学部新設の動きがあり、10月4日宮城県村井嘉浩知事は、首相官邸で安倍晋三首相に会い、東北地方の医師不足解消のため、医学部を同地方に新設するよう要望し、首相は「十分理解した。文部科学相に設立を検討させる」と応じたという報道がありました。10月8日には下村博文文部科学相は閣議後の記者会見で「今後具体的な検討を進めていきたい」と述べ、東北地方に「1ヵ所」の新設を前提に検討する方向性を示しました。日医は「喫緊の課題は医師の偏在の解消である。医学部新設で300人程度の教員(医師)が必要となり、地域医療の崩壊が加速する恐れがある」と反対姿勢を強めています。また、「全国医学部長病院長会議」でも9月30日に医学部新設反対の記者会見を行い、小川 彰顧問(岩手医科大学理事長)は「医学部新設は、むしろ地域医療を崩壊させる。間もなく定員を減らさなければいけない時代が来るにもかかわらず、国民の血税を使って新しい医学部を作る意味はない」と断じております。今、この問題を見過ごす事は出来ません。

常務理事 逢坂 宇一

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