COLUMN一灯

終末期

二戸医師会
松井内科医院 松井 美紀夫

少し前のことになるが、平成25年1月21日に開かれた社会保障制度改革国民会議で、自民党の麻生副総理兼財務相が高齢者などの終末期の高額医療費に関連して「死にたいと思っても生きられる。政府の金で高額医療をやっていると思うと寝覚めが悪い。さっと死ねるようにしてもらうなど、いろいろ考えないと解決しない」との持論を展開した。また、「一人に一千数百万円かかるという現実を厚生労働省は一番良く知っている。」とも述べ、財政負担が重い現実を指摘したこのことで、物議をかもしだしたため、菅義偉官房長官は記者会見で、麻生氏個人の人生観を述べたもので、議事録からこの部分の文面を削除すると発表した。政権間もない安倍内閣のことを思ったためであろう。

この件に関して、ツイッターの意見は賛否両論さまざまであったが、おおむね麻生氏への賛成意見が多いように思われた。はたしてこの麻生氏の発言を氏の個人的発言として葬ってよいのであろうか。会議では各々の個人の意見を含めてとことん本音で語り合い、日本の終末期医療について意見をだし合い、会議を固めてから国民への賛否を問うのが政治であろう。

私個人の意見としては、人は自分の体力年齢からいずれは死について考えるようになる。その時は将来の自分の終末期についてエンディングノートに自分の意志を書いておくべきであると思う。また、医療従事者の一人として、終末期の患者さんに対し個人の意見を尊重して医療にあたるべきだと思う。

政府は社会保障制度改革国民会議の報告書をまとめて安倍首相に提出した。秋の臨時国会に改革の工程を定め、法案を提出する予定である。

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