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      組合員の異動状況 あ と が き
 
いわて医師協同組合
女性部総会・特別講演会
  :平成17年7月21日(木)
  :ホテルニューカリーナ サンクール

 定刻、司会の村井澄子幹事が開会の言葉、理事長の挨拶に移った。
【挨拶(要旨)】
いわて医師協同組合理事長 眞瀬 静
 お陰さまで「いわて医師協同組合」の事業もまず順調であることをご報告申し上げます。本日は北日本銀行の頭取さんをはじめ役員の方々をお迎えしましてお話を伺うことになりました。北日本銀行と長い間良好な関係を結んでおられる医療機関の奥様方も多いと思います。今日のお話をお聞きして更に緊密な関係を構築されんことを希望します。
いわて医師協同組合女性部部長 斉藤恵子
 奥様のご協力というか、ご主人を支えることで医業も安定をしていると思います。奥様方が互いに連携を図りながら、様々な情報を交換しながら経営の糧するために女性部が誕生しました。購買部も担当しておりますので耳寄りな情報がありましたらご遠慮なく女性部を通してお教えください。

平成16年度女性部活動状況を村井幹事が説明。特に「個人情報保護法」関連について詳しく説明し、北日本銀行から佐藤安紀頭取、宮常務、石塚企画部長、参加者の自己紹介があった。
【講演】
「最近の経済・金融について」(要旨)
(株)北日本銀行 取締役頭取 佐 藤 安 紀 氏
 私の実家は「ロープの卸」と「質屋」を営んでおりました。小学校4年の頃から厳しい父親に稼業の手伝いをさせられました。質屋の番台に座りながら質草と質札のやり取りをしましたが、幸いにも、後日、非常に役に立ちましたのは「人の勢い」を見ながらお金を貸すということであります。最近、大手消費者金融会社の調査で一部上場の企業の社員をスクリーンにかけますと、何処の会社でも1割の社員が利用しているということです。千名の従業員がいると百名は消費者金融を利用しているということです。そして賞与が出ない、給料の遅配するなどがあって、その会社の2割が消費者金融のお世話になってくる状況が出てくると、その会社の経営状態は危ないということになります。「人の勢いを見ながら」ということは、虚勢を張っていることを眼違いをするのではなくて、財務の内容の健康度をきちんと見るということです。
 私の経済講演会は大体1月から3月にかけて八戸から仙台まで約8ヶ所、約1時間半の講演を行っています。「経済を見るなら株式市場を知れ」ということで高校時代に父親から手ほどきを受けて、株式売買を大学在学中から始めております。当時は東京オリンピックがあり高度成長期でありましたので資金を増やしました。父親のアドバイスもあってその資金で北銀の株を購入して入行しました。株主で入行するという新人行員は初めてのことでした。株主でありながら行員であるという複眼的に物事を見るということをしました。そして「株式市場」を見ながら会社の状況をみるということの重要性がますます分かりました。私が北銀の指揮を執ってからこの6年間業績を順調に上げていることの基本となっております。
 米国もオーストラリアも不動産の住宅バブルが発生しておりますが、将来、米国の経済のアキレス腱になりかねない。グリーンスパンさんの指示で公定歩合は1%から4%に上げており、ここにきて原油価格の上昇の問題がありまして米国の経済も問題がでてきましたので、ワールドワイドな視野で株式市場をみてゆきませんといけません。私は「命」の次は「お金」であると考えていますが、「お金」は実物経済の50倍の大きさで世界を駆け巡っているので、株式市場や金融マーケットを注目しなければならないと思っています。もう一つの貨幣の価値は「土地」であります。不動産は日本の機軸通貨の一つでありましたが、バブル経済の破綻で日本の機軸通貨としての価値を失いましたが、バブル崩壊後13年経過しまして再び以前のように機軸通貨としての価値を取り戻しつつあります。必ずその都市の人口、20年前のダウ平均つまり一時は3万円以上も行きましたけれど現在の1万1千円台は20年前の東証ダウの平均値でありますが、20年前の盛岡市の人口が20万人としますと20万の人口の10倍ですから、大通りの第一書店前が坪200万円という時代でした。バブル期には600万円しましたこともありましたが、1坪その都市の人口の10倍という以前の尺度が戻ってきたということは「土地の復権の始まり」であります。但し、二極化をしていまして駅から10分以内の土地は復権をし、郊外は残念ながら値崩れをしている。駅近辺に建設されているマンションがありますが、盛岡市は人口当たりの部屋数の多さは東北一であります。青森市は、一時商店街が郊外に移って空洞化の傾向がみられましたが、駅前の魚市場のマーケットのあった場所に大きな建物を建てまして、地下に魚屋のマーケットを開業し2、3階を公共施設としての図書館を置き、4~12階までを全てマンションとしたので、人口が集中し、地価も上がってきました。核となる建物があって、周辺に必要な施設があると不動産の復権が可能であります。中心街が活性化してきている。これからは、高齢化社会の到来を考えますと買い物も通院も歩いて行ける範囲にあるということがキイーポイントとなり地価の上昇が始まってきます。日経ダウが上がるたびに地価が値上がりする。復権が始まってきたと言えます。
 日本は資源国でないので、人材に頼るきらいがあります。これまでは終戦後の経済復興を目指し厳しい教育がありました。しかし、「ゆとり教育」という実体のない教育方針で若者がスポイルされ、不勉強になり、競争心が無くなった。全く堕落をして数学力についても英語の力も東南アジアを含める他のアジア諸国に負けてしまいました。将来に不安を残す結果になりました。教育が子供の差別化に気を使うあまりに個性を殺してしまいます。各人の長所を伸ばすような競争がなければ無資源国の日本が生きる道が無い。しかも高齢化社会の影は確実に忍びよってくる。人口の減少も確実に進んでいく、人口が減って栄えた国は無い。
 中国の問題ですが、ここ2、3年間、私は中国には危機感について訴えてまいりました。以前は人件費が安く衣料品などの製造拠点として重宝されていましたが、最近は消費大国になりつつあります。但し、中国の人口13億人のうち、6億人が消費人口で残り7億人は貧民層であり、実際「中国の人口は6億人」であると極端な表現をする方もいます。年間50万件のデモが起き、共産党政府は国内の不満を日本に向けるような教育をしている。そして6億人の10%の6千万人が高額所得者であり、北京、上海の億ションを購入している。6千万人の10%の6百万人は30~40億円の資産を持っているのが共産党幹部であります。国民総生産が180兆円ですが25%がワイロによるものであり、ワイロ経済の実体があります。県内企業でも低い人件費につられて製造拠点を中国に移したが、結局、全てを捨てて戻ってきています。中国はワイロ国家でその恩恵を享受しているのが共産党幹部であります。しかし、中国との商取引のキィーマンとなっているのが台湾の経済人であります。そして、最近では中国も韓国の資本も日本に入りつつあります。日本の金融市場が不良債権処理で落ち込んでいる時に元気のある中国、韓国の資本が入り込んでいます。
 小泉さんの唱えている「郵政民営化」は、成立するとは思いますが求心力が無くなって崩壊の序章にあるかと思います。
 県内の経済事情について「夢県土いわて」の実情は「借金県土」であります。「競馬組合問題」の処理の遅れが禍根を残すこともあります。県債の発行も増えています。これからの県内の産業は一次産業に帰ると思います。岩手県は自然環境に恵まれ農業には最適の地であります。アイデア次第で大きなビジネスチャンスが生まれてきます。
 株式市場については注目するところは、銀行も回復基調にありますし、大手商社も復権を始めております。家電関係は液晶テレビ関連で成長し、建設機械にも有望な企業があります。
 最後に注目企業の経営者の言葉を引用しますと「運を掴める人、運を掴めない人は三つの気を掴むのが鍵になる。私は運という頭に三本の気(毛)を垂らし物凄いスピードで走ってくる海に棲む妖怪のように考えている。正面から掴めないと直ぐ通りすぎ捕らえられない。問題は三本の気です。一本目は元気、二本目は勇気、三本目は熱気です。気概さえあればその気にめぐり合う」(了)。

 いつもながら熱気溢れる講演で、この暗い世の中で参加者に新たな元気を与えてくれる。過激な表現もあり、参加者が眠る間もない息をつがせぬ内容であった。
IWATE MEDICAL COOPERATIVE ASSOCIATION●No.59