ビジネス・ウォッチング

ビジネス・ウォッチング 〜職場訪問記〜 vol.8

株式会社環境整備

いわて医師協同組合が指定する医療廃棄物処理事業協力会の構成業者を紹介するシリーズの最後は株式会社環境整備。昭和62年に産業廃棄物処理専門業者として設立以来、収集・運搬・中間処理を柱に一連の処理体制を確立し、業界の先駆者として発展してきました。リサイクルの向上をはじめ太陽光発電や焼却炉発電など、未来に向けた環境保全活動も活発に行っています。

交通アクセスが良く緑豊かな環境が自慢

盛岡市の北部に清々しい水辺空間を創り出している四十四田ダム。市街地に隣接していますが、ダムの周辺は緑豊かで西側に堂々たる岩手山を、東側には秀麗な姫神山を望むことができることから「南部片富士湖」とも呼ばれています。

その湖畔に沿う道を滝沢方面に向かって進む途中に「株式会社環境整備」の看板が建っています。盛岡市の中心部から車で約30分、滝沢駅までは車で5分、さらに滝沢ICからも10分余りと交通の利便性と環境に恵まれています。

「四季折々美しいダム湖に加え、周辺は盛岡市の森林緑化地域に指定されていますから、産業廃棄物を処理する会社とあって当初はなかなか地域の方々に理解していただけないこともありました」と、伊五澤泰彬社長は振り返ります。

同社の設立は昭和62年ですが、その前身となるのは高弥建設株式会社の産業廃棄物処理部門として、昭和58年に石鳥谷町(当時)に安定型最終処分場を開設したことに始まります。

昭和62年に高弥環境整備株式会社となり、平成8年に現在地に盛岡中間処理場が完成、平成14年に高弥グループから分離独立して「株式会社環境整備」に社名を変更し、現在に至っています。

収集・運搬・中間処理の一連の体制を確立

盛岡に中間処理場を建設以来、環境整備は産業廃棄物処理専門会社として収集・運搬・中間処理の一連の体制を確立。産業廃棄物収集運搬、産業廃棄物処分、特別管理産業廃棄物収集運搬、特別産業廃棄物処分を中心に近年とみに廃棄物の取り扱い数量を伸ばしています。

医療廃棄物に関しては平成8年に盛岡中間処理場が完成すると同時に回収を開始し、平成9年からはいわて産業廃棄物協同組合の中に設置された医療廃棄物部会の会員となり、それ以来いわて医師協同組合とは信頼のおける協力業者として提携を結んできました。

現在は医療廃棄物処理事業協力会の協議員(いわて医師協同組合と協力会各社との調整役)も務める野口剛常務は「医療廃棄物の回収を始めた頃は分別も不十分でしたが、今は分別が当たり前になり、医療廃棄物処理に対する皆さんの認識は高いですね。協力会は同業のライバル関係を超えて情報交換を密にし、互いに協力しあうことも多くなってきました」と話します。

廃棄物は貴重な資源
破砕から「つくる」へ

環境整備では廃棄物を環境にいかに負荷をかけずに最適で、安全な処理を行うかを追求する一方、リサイクルの促進にも力を入れています。平成16年に八戸市にリサイクルセンターを開設、平成27年には北上市にもリサイクルセンターを開設しました。

蛍光管の破砕施設を有する八戸リサイクルセンターでは、主に青森県内を中心に蛍光管、乾電池の受け入れを行っており、水銀使用製品の蛍光管はセンター内の施設で破砕処理後に、乾電池は積替保管後に北海道の野村興産(株)イトムカ鉱業所に搬出し、再利用を図っています。

また、北上リサイクルセンターでは廃プラスチック類や木くず、紙くず、ガラスくず、コンクリートくずなどを破砕処理後にセメント原料や燃料などの用途にリサイクルしているほか、乾電池や蛍光管はリサイクルに回すために同じく野村興産に搬出しています。

「野村興産は蛍光管や乾電池に使用されている水銀を抽出し、亜鉛やマンガンなども選別して再生利用できる技術を持っている国内唯一の水銀リサイクル企業です。当社は岩手県内で唯一、野村興産の代理店になっているんです」と野口さん。「地球環境が問題を抱えている今、廃棄物をただ処理するだけでなく、循環型社会の実現に向けて“つくる”分野にも展開していきたい」と力を込めます。

リサイクルの取り組みは着実に成果を上げています。環境整備では平成30年度は焼却、破砕処理で約1万5445トンを取り扱っていますが、焼却炉発電を含めるとこの中の約1万4569トン(94%)がリサイクルされ、資源として活用されています。今後はさらに焼却した際の残渣のリサイクルも進めていく計画です。

美しい自然と快適な生活環境を次世代につなぐ

「豊かな自然・環境保護存続を使命とし技術革新に努め、産業廃棄物を通し、広く社会に貢献する」ことを経営理念に掲げる環境整備では、リサイクルの向上のみならず省エネルギーなど環境活動にも積極的に取り組んでいます。

その重要な要素になっているのが平成23年5月に完成した乾溜ガス化焼却炉です。可燃廃棄物を外気と触れさせずに加熱することで可燃性のガスが発生します(乾溜)。そのガスを燃焼させる装置が乾溜ガス化焼却炉で、処理能力が以前の約4倍に増えるとともに稼働時間も2倍になりました。ガス化させてから燃焼することにより消費燃料が軽減でき、省エネルギーにも効果を上げています。

岩手県に1台しかないという高機能の装置であり、1000℃前後で燃焼するためダイオキシン類の抑制にも極めて有効です。さらに、廃棄物を燃やすときに発生する熱をエネルギー源として発電する焼却炉発電にも取り組み、令和元年7月に廃熱を利用した小型バイナリー発電が完成しました。

「恐らくこのくらいの中規模の焼却炉では、発電装置を付けている会社は、なかなか見当たらないと思います。試行錯誤を重ねた結果、ついに成功しました」と野口さんは笑顔で話し、「今ある設備を整備して安定的に廃棄物の処理を行っていくだけではなく、施設の二次利用も考えながら環境にやさしい取り組みを発展させ、地域の皆さんに必要だと思っていただける会社にしていきたい」と未来を見つめます。

今のところ発電量出力は60キロワットですが、発電した電力は施設内で利用しており、使用電力の2割ほどを賄っています。また、敷地内の一角にはソーラーパネルも設置し、太陽光発電も取り入れています。

現在の社員は65名。地域清掃活動や施設見学会を開催するなど、地域社会からの信頼性向上、企業価値の向上とイメージアップにも努めており、伊五澤社長は「お客さんに信頼され、社員が安心して働ける会社づくりを念頭に、時代の変化に対応して改善すべき点は改善していかなければなりません。例えば、アメリカやドイツなどの先進地では、医療系廃棄物を含めた廃棄物にどのように対処しているのか関心があります。私たちには快適で安心できる生活環境を次世代へ渡す使命があるのですから」と話します。

環境整備は産業廃棄物処理を通じて、産業活動の健全な発展と地球環境を守り、快適な生活環境を未来につなぐサスティナブル社会の実現を目指して歩んでいます。

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伊五澤泰彬社長(右)と野口剛常務(左)

 

環境整備の主要設備である乾溜ガス化焼却炉。岩手県には1台しかない

焼却炉の廃熱を利用した小型バイナリー発電設備を付設

乾溜ガス化焼却炉のフローを説明する野口常務

創立30年を記念して建立された聖観音菩薩像。地域住民への感謝と社員や家族の発展を祈るとともに、医療廃棄物を扱うことの供養も込めている。後ろはソーラーパネルの設備

施設見学会

地域清掃活動

 


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