ビジネス・ウォッチング

ビジネス・ウォッチング 〜職場訪問記〜 vol.7

福興産業株式会社

福島県に本社を置く福興産業株式会社は、優良産廃処理業者に認定された企業で、いわて医師協同組合が指定する医療廃棄物処理事業協力会の会員業者です。感染性廃棄物を扱う事業者としての責任を重視し、院内で感染性廃棄物を安全に取り扱うための勉強会や運営サポートツールも提供しています。

創業30年
東北・北海道に10拠点

岩手県外で唯一、医療廃棄物処理事業協力会(以下・協力会)の会員業者である福興産業株式会社は、福島県の北部、宮城県に接する桑折町にあります。伊達氏発祥の地として史跡も多く、かつては交通や商業の中心として栄えた桑折町。近年は果樹栽培が盛んで、特に桃は福島県内有数の出荷量を誇り、毎年皇室に献上される「献上桃」が有名です。

福興産業は昭和62年に現会長の山川憲一さんが有限会社として設立。昭和63年に福島県産業廃棄物収集・運搬業の許可を取得し、本格的に営業を開始しました。岩手県への進出は平成3年に盛岡事業所(現在は岩手支店)を開設したのが最初で、同17年には北上にも営業所を設置しています。

平成8年に現在の桑折町に本社を移転した福興産業は、同14年に株式会社に組織変更。「産業資源循環社会の構築を目指す」、「循環型社会、環境再生、低炭素社会の実現に向け、率先して責務を果たす」ことを基本理念に掲げて着実に実績を積み、現在は東北・北海道10拠点に事業範囲を広げています。

東日本大震災を乗り越え産業資源循環社会を目指す

東北自動車道国見ICで降り、南東へ10分余り進むと小高い丘に桑折工業団地が広がり、その一角にガラス張りの福興産業の社屋が建っています。平成28年に父である山川会長の後継となった山川憲彦社長と、赤坂正行管理部長が迎えてくれました。

今なお大きな爪痕を残す東日本大震災では、福興産業はすぐに福島県から指定業者の認定を受け、1日も休まず災害復旧に当たりました。山川社長は「幸いにも本社近隣は被害はほとんどなかったのですが、放射能対策は想定外のことで、福島県内で2割ほどの顧客がある沿岸には行くことができませんでした。有事の中で1日も休むことなくお客様のために働けたことは大きな財産として残りました」と、思い起こします。

地域とともに復興を目指す中で、福興産業は除染廃棄物や低濃度PCBなど新事業を立ち上げるとともに、全国産業廃棄物連合会に加盟し、災害発生時には団体との連携を密にしながら災害復旧・復興に率先して協力しています。

震災を乗り越えた現在、事業の中心になっているのが感染性廃棄物と産業廃棄物の収集運搬で、医療廃棄物処理に関しては、「感染やケガを防ぐ専用容器により、院内保管・収集運搬時の安全性の向上に努める」、「1650℃以上の高温で完全無害化する溶融処理や高温処理などで感染性廃棄物も確実に処理する」、「感染性廃薬品・医療機器・機密情報までまとめて引き受ける」ことなど、「安全」「確実」「ワンストップ」をモットーにしています。

中でも、メスキュードの溶融処理は、製鋼用の電気炉を利用した日本初の超高熱溶融処理方法で、1650℃以上の超高熱により完全溶融処理ができます。

山川社長は「当社は30年余りにわたって環境事業を行ってきました。感染性廃棄物、産業廃棄物の収集運搬を中心に廃棄物の適正処理とリサイクルを推進し、平成28年に優良産廃処理業者に認定されたことは大きな事柄でした。認定していただくにはクリアしなければならない条件が多々あり、福島県では4業者しかありません」と話します。

廃棄物分野の提案と啓蒙活動

福興産業は感染性廃棄物を扱う事業者としての責任を重視し、排出者の安全を守る取り組みを積極的に進めています。

例えば、コンプライアンスを徹底し、廃棄物からの感染リスクを低減するために行っている「院内セミナー」は、福島県内の病院を中心に多くの実績を上げています。また、医療施設から出る様々な廃棄物をどのように分別・管理すべきかについて、知識や情報を提供するだけでなく、廃棄物をどこに、いかに保管するか、どう運用すればよりわかりやすく安全を確保できるかなどのプランニングも行っており、これらを周知するための案内表示や、安全に投入できる専用機器やスタンドも提供しています。

さらに、電子マニフェストを導入し、入力を代行するサービスも提供しています。

「当社の営業担当者などが講習会などで勉強し、講師としてセミナーを開催していますが、事前にミーティングをさせていただき、困っていることや配信方法を打ち合わせた上で要望を織り込みながらセミナーを行っています。きちんと分別したほうが安全面も適正に処理できますし、処分料金も逆に安くなったというお話をいただいています」と、赤坂部長は話します。

子どもたちに豊かな未来を残すために

環境事業に携わって30年余り。山川社長は「今は自分が、自分がという時代ではない。協力会をはじめ、あらゆる処理業者や収集運搬会社と連携・提携しながら、東北一円、医療廃棄物を中心に総合産業廃棄物業を目指していきたい」と、今後の進むべき方向について語ります。

産業資源循環社会の構築を目指してきた福興産業は、子どもたちに豊かな未来を残すために、多様な社会貢献活動も継続して行っています。その一つである福島キワニスクラブは、世界的なグループ活動で、病気に苦しむ子どもたちの療養を助けるキワニスドールを会員やボランティアとともに作成し、病院に寄贈しているほか、絵本も贈呈しています。

また、将来活躍できる人材の育成を目的に銀行から寄贈サービス付私募債を発行し、子どもたちの教育環境をサポートする未来の夢応援債にも参加しています。さらに、メスキュードシステムに関係する収集運搬会社・中間処理会社・従業員の賛同を得て、取扱量に応じて一定額を積み立てるメスキュード医療安全基金にも参加しており、この基金は年に一度、国内の医療関係団体に寄付されています。

「当社はこれからも環境カンパニーとして地域と共生し、事業を通して社会に広く貢献するとともに、子どもたちに豊かな未来を残すために社員一丸となって努めてまいります」と、決意を語る山川社長。いわて医師協とは医療系廃棄物処理事業をスタートさせた平成6年当時からの長い付き合いになり、平成28年には協力会の一員となって、より確かな信頼関係を築いています。

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山川憲彦社長(右)と赤坂正行管理部長(左)

平成29年に本社を新築。社屋は木材の素材感を活かしたエコロジーを象徴するデザイン。省エネルギーに配慮した設備仕様になっている。

事務所の様子。業務効率化による省エネルギーにも積極的に取り組んでいる。

令和元年の院内の勉強会が国見町の公立藤田総合病院で開催され、福興産業が講師を務めた。

電子マニフェスト加入から開始運用までサポート

福島キワニスクラブが参加した「ゆきちゃん募金」

メスキュード医療安全基金の活動

日本医療機能評価機構からの感謝状

 

事業に伴走する環境カンパニー
ワンストップで、より安全に、確実に。

福興産業株式会社
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福島県伊達郡桑折町字田植12番地1
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