人物クローズアップ

人物クローズアップ vol.20

少子化対策は将来に関する問題であり
いま、目の前にある重要な課題
医師会の立場からも提言していきたい

いわて医師協同組合 副理事長
滝田医院 院長 滝田 研司(奥州医師会)

産婦人科医として
地域で「生命」を結ぶ

滝田医院は、父の代から江刺で産婦人科を開業しています。私は義務感で後を継いだわけではなく、大学時代、目を掛けてくださった先生がたまたま産婦人科医で、人間的に大変素晴らしい方でした。産婦人科医の道を選んだのは、その先生の影響が大きかったと思います。

ご存じのとおり、産婦人科医は今、なり手が少なくて厳しい状況にあります。奥州市には水沢に2軒、江刺には私を含めて2軒ありますが、地域的に偏在しており、県内では特に県北、沿岸地方が周産期医療の拠点が少ないという危機的状況にあります。

母体と胎児の両方に関わり、患者さんに対するリスクが大きいうえに、お産は昼夜を問わないし、土曜、日曜も関係ない。時間の制約もあり、若い人には敬遠されがちかもしれないですが、そうばかりも言ってはおられず、対策は急を要していると思います。

私は産婦人科医になって40年余り。うちの病院で取りあげた赤ちゃんがすくすく成長して立派な大人になり、結婚して今度はその女性が子どもを産みにやってくる。ニコニコして目の前に座っているのを見ると「あの時の赤ん坊が、こんなに大きくなったのか」と、感慨深いですよ。遠くにお嫁に行っても、ふるさとで出産をと当院に再び来る人もいるし、父の時代から数えれば3代、4代と、この地域で人々の尊い生命を結んできた。私たちの仕事には、そんな大きな喜びがあるのです。

地域で総合医の役割を担う
少子化対策は喫緊の課題

当院では、産婦人科のほかに内科の診療も行っており、地域においては総合医の役割も担っていかなければなりません。ここに来た当初、町の皆さんは婦人科という概念がわからず、女性特有の病気を診る病院だと思っている人が少なくありませんでした。

婦人科といっても女性の頭の先から爪の先まで診る必要があり、私はできる範囲で総合的に診るようにしています。生命誕生の厳粛な瞬間、そして女性の健康の担い手として、常に最良の医療環境づくりを心がけていくとともに、赤ちゃんからお年寄りまで、地域の皆さんの身近なかかりつけ医でありたいと思っています。

少子化対策は我々からみても将来に関する問題であり、今、目の前にある大きな課題です。国立社会保障・人口問題研究所によると、2040年の岩手県の人口は100万を切って93.8万人になると予想されています。人口の減少により経済活動も停滞してしまう。少子化対策は国や県などの行政関係者、経済界、学校などと一緒に医師会も取り組んでいかなければならない社会問題であり、平成28年9月に県医師会では少子化対策勉強会を立ち上げました。

現在、各界から講師を招いてお話を聞くなど勉強を重ねている段階であり、今後は出生率向上のために、周産期医療の医師確保という課題も含めて、医師会からもより良い提言をしていくべきだろうと思っています。

理事長や組合員と歩調を合わせ
医師協の発展を目指したい

私は平成2年の設立時から医師協同組合の組合員になり、平成26年に常務理事に、27年からは副理事長を務めています。ほかにも県医師会の副会長・奥州医師会の顧問を担っておりますので、正直、本業以外のところでも多忙を極めています(笑)。

医師協に加入するメリットは、前々号で前川理事長が詳しく述べられているように、格安のサービスが受けられることです。たくさんある利点をよくご理解いただいて、未加入の先生方にはぜひ入っていただきたい。

私は平成26年に購買部の常務理事になりましたが、購買部は今後さらに利用が伸びていく部門でしょう。医師協のホームページを通して医療機器や器具を購買できるのは便利だし、電子書籍化が進んでいる今は、分厚い専門書や研究書を買いそろえなくてもいい。それに、組合員の割引制度もありますから、実にお得です。

忙しい日々の中で、楽しみはゴルフと花です。ゴルフ歴は48年と長いが、どうも本番に弱い(笑)。IBCカップで決勝までいったのが記憶に残るものです。花を好きになったのは、以前、東京の青山通りを歩いているとき、「ホクシア(フクシア)」という美しい花を目にしたのがきっかけで、以来、自分で気に入った花を買ってきては、自宅の庭に植えています。

木の花が特に好みで、ツバキ、沈丁花、かるみや、ハナミズキ、牡丹、シャクヤク、百日紅などの花が四季の移ろいを教え、潤いを与えてくれます。庭は病室の窓からも見えるので、入院患者さんの楽しみになっています。

これからも地域医療に貢献していくこと、そして、前川理事長や役員、スタッフの皆さんと歩調を合わせ、いわて医師協同組合の発展のために力を尽くしていきたいと思います。

四季の花々が植栽された庭は、病室の窓からも見える

↑ このページの先頭へ

滝田 研司

たきた・けんじ

1950年江刺市生まれ。1981年3月に帝京大学医学部臨床大学院を卒業。蒲郡市民病院産婦人科員、大蔵省印刷局病院産婦人科科長、西新井病院産婦人科科長などを経て1985年に江刺市に帰郷し、同年5月に滝田医院院長となる。現在、いわて医師協同組合副理事長、岩手県医師会副会長、奥州医師会顧問、日本医師会代議員を務める。

 

少子化対策にも力を入れている滝田院長

滝田医院の待ち合い室

いわて医師協同組合のホームページ

滝田医院
〒023-1124
奥州市江刺区六日町1-9
TEL.0197-35-2315
FAX.0197-35-2316
【診療科目】
内科、産婦人科
【診療時間】
月〜金 9:00〜12:00、14:00〜18:00
土曜 9:00〜12:00
【休診日】
日曜・祝祭日