平成14年度

いわて医師協同組合セミナー
  

日 時: 平成14年10月24日午後6時30分
場 所: 花巻市 「ホテル花城」

 定刻、 小木田勇輝医協理事の司会で開会、 眞瀬静医協理事長から 「お忙しいなか、 多数のご参加感謝します。 また高橋花巻市医師会長、 小原花巻市医師会副会長のご高配に感謝申し上げます」 と挨拶、 来賓として高橋康文花巻市医師会長から 「ペイオフ対策は重要な問題ですが、 また医療廃棄物を含む産業廃棄物の問題も医療機関で今後重要な課題であります。 良い機会ですので勉強しましょう」 との挨拶があった。

講演T(要旨)
「聞くは一時、 聞かねば一生の損!」
―ペイオフ対策を考えてみませんか?―

岩手県医師会事務局長 中沢 正博 氏

 ペイオフは来年4月の予定が延期となり、 2005年3月まで普通預金等の決済性資金は全額保護されます。 個人での定期預金については1,000万円ずつ別々の銀行に振り分けて預ければ問題がないが、 医療法人等の豊富な資金運用を行なっている医療機関が問題である。 東京都は、 格付けがBBBの 「投資適格」 以上の金融機関に預金を絞る予定である。 また、 金融機関の自己資本比率も選別の目安にはなる。 全国的にも自己資本比率が10%を超える銀行は少ないが、 岩手県医師信用組合は18%と驚異的数字であり超優良金融機関であるのでご利用いただきたい。 しかし、 銀行業務に投資信託業務が導入されてからは、 金融機関に任せきりではなく、 自己責任が求められるようになっているので金融情報にはこれまで以上に注目して欲しい。

講演U(要旨)
「産業廃棄物と企業活動」

岩手県産業廃棄物協会専務理事 千葉 長一 氏

 産業廃棄物の処理の現状として、 青森県と岩手県堺の不法投棄による産業廃棄物は、 香川県の豊島の産業廃棄物量は約26万トンであるが、 県北の廃棄物量は約86万トンと豊島ではその処理に約200億円の費用がかかるので、 県北の処理には倍以上400億円を超えるとのこと。
 平成15年4月には岩手県は岩手方式という産業廃棄物処理案を制定する予定であるが、 産業廃棄物の処理に関連する法案が廃棄物処理法案(厚労省)とリサイクル法案(国土交通省)と縦割り行政の弊害も指摘された。
 焼却施設の問題では、 法改正で残る焼却炉は現在あるうちの2割であり、 最近矢巾町にできたものは約97億円、 クリーンセンター93億円と設備建設には高額なものとなっている。 これまでは県内で野焼き、 神仏のどんと焼き、 キャンプフアィヤーは禁止されていたが現在はそういうものに限っては許可されている。
 産業廃棄物の処理について、 法改定が頻繁に行われ内容の変更・訂正があるので各医療機関では委託契約の内容の確認をお願いしたい。
 マニフェスト(医療廃棄物管理票)は、 元々は感染性廃棄物の処理から始まっており、 違反の場合には直ちに罰則が行なわれる。 しかし、 マニフェストとは別に各医療機関では帳簿に記載と保管をすることが望ましい。

 講演Tの中澤講師の話は、 極端な言い方をすれば、 これからは自分の財産は自分の責任で管理すること。 銀行も個人も責任を問われる時代であるとのことのようであった。 その判断の指標として自己資本比率等の情報の収集も必要であると思った。
 また、 講演Uの千葉講師のお話では、 県北の不法投棄は、 社会問題として大きくマスコミに取り上げられた香川県豊島の約3倍以上の量であるとのこと、 処理に400億円以上の費用がかかることなど、 驚愕すべき事実であった。 健康被害への影響を考えれば、 私達医師は、 もう少し関心を持って何らかのアクションを起こすべきではないかと考える。
 非常に有意義な講演であり、 講師のお二方には深く感謝したい。 また、 司会の小木田先生はじめとして高橋花巻市医師会長、 小原医協専務理事に心から御礼申し上げます。

常務理事 菅原 克郎


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