人物クローズアップ

人物クローズアップ vol.16

久慈地域で唯一の耳鼻咽喉科の
開業医として皆さんから信頼される
かかりつけ医でありたい

おのでら耳鼻咽喉科クリニック院長
小野寺 耕(久慈医師会)

地域の要望を受けて
久慈市内に開院

私が久慈市で唯一の耳鼻咽喉科の専門クリニックとして開院したのは平成12年です。今も市内はもちろん、旧山形村、野田村、普代村、洋野町も入れた久慈地域で、耳鼻咽喉科の開業医は当院しかありません。私は金ケ崎町出身ですが、ここで開業したのは、平成7年に県立久慈病院に勤務したことがきっかけです。その前からも大学からの派遣で来ていましたが、当時は久慈病院にしか耳鼻咽喉科がなかったので、患者さんが殺到し、夜の8時過ぎまで診療にかかることもあり、365日24時間待機という状態でした。

日々、大勢の患者さんの治療に追われながら、久慈病院と開業医とで手分けして診ることができれば、よりよい診療につながると思いましたし、ぜひ開業してほしいという地域の皆さんの要望に応えられればと思ったんです。

来院する患者さんは洋野町や普代村まで広範囲にわたり、多い時は一日300人以上を診療していました。耳や鼻に限らず風邪などの患者さんも多いのですが、最近はいつも混んでいるというイメージがあるのか、敬遠されているようで(笑)。無理して症状が重くなってからでは入院が必要になることもあり、そうなると入院先を見つけるのが大変です。この周辺で耳鼻咽喉科系の入院施設があるのは八戸市民病院だけで、時には盛岡へ行かなければならないこともある。そんな地域性もあり、我慢してひどくなってしまうより、多少混んでいても早く病院に来てほしいと思っています。

学校検診の数は日本有数
花粉の飛散状況を調査研究

私たち耳鼻科医の役割の一つに学校検診があり、木曜日の午後はその仕事に充てています。ひところは、学校数で約70、生徒数は1万人余りにのぼり、「日本で最も耳鼻科検診の受け持ちが多い耳鼻科医」と言われたこともあります。今は統廃合で小中学校の数も減り、生徒数も減ってはいますが、何しろ範囲が広いのに医師は一人ですから、なかなか終わらない。毎年4月から始めて6月末には終え、疾患があったらプールの季節までに治すというのが理想なのですが……。

以前は栄養状態や衛生環境も良くなかったので蓄膿症などが多くみられましたが、現在はアレルギー性鼻炎が多く、特にこの地域はシラカバアレルギーが特徴的です。私はクリニックの屋上に花粉採集器を設置し、平成15年から10年以上にわたって久慈における花粉飛散状況を継続的に調査してきました。これまで岩手県北沿岸で実測されたデータはなく、岩手県北沿岸のスギをはじめとする花粉飛散の実態を明らかにして日常の診療に役立て、地域医療に貢献することが目的です。

これまでの調査結果から、スギ花粉とほぼ同時期にマツ、ハンノキ属、ヤナギ、シラカバなどが多く見られたので、これらを組み入れたアルゲン検査を勧めています。また、平成17年と東日本大震災が起こった平成23年は花粉の飛散が特に顕著でした。花粉の飛散が多かった次の年は、少なくなる傾向にあることもわかりました。

さらにアルゲン検査施行例を、18歳以下と19歳以上に分けて検討したところ、18歳以下ではダニ、ハウスダストの陽性例が80%以上と多くなっており、学校でもこれらの曝露を軽減させる必要があると考えます。

耳鼻咽喉科の医師が増えて欲しい
ゴルフと愛犬の散歩で健康維持

子供の頃、江刺の片田舎に住んでいた祖父が盲腸炎で命を落としました。私が医師を目指したのは、そんな家族の不幸もあってのことで、医療局の奨学生として学び、医師数が足りない耳鼻咽喉科の道に進みました。今でも耳鼻咽喉科の医師は足りないので大学に耳鼻科が増えて、耳鼻咽喉科を目指す医師が増えてくれることを願っています。

久慈地域は人口そのものが減っていますから、患者さんが増えているわけではありません。それでも日々の忙しさに変わりはないので、健康のためにも時間があるときはゴルフのラウンドに行っています。よく行くのはニュー軽米カントリークラブで、主に日曜日、月に2〜3回はプレーしています。1ラウンドで10キロくらい歩きますから、運動不足の解消には持ってこいです。調子がいい時は80前後で回れるけれども、最近は100を超えることもありますね。県医師会のゴルフ大会、青年の部で優勝したこともあります。壮年になってからは低迷していますが(笑)。

もう一つの健康法は、愛犬「ソラ」との散歩です。柴犬で15キロくらいはある。血統書付きで大きくなりますよと言われていましたが、本当に大きくなった(笑)。雨の日も二日酔いの日も毎朝40分くらい一緒に歩いています。自宅は堤防のほとりにありますから散歩コースは海沿いの爽やかな環境で、ウォーキング中の久慈病院の院長先生や、市内の開業医の先生にお会いすることもあり、時には立ち止まって挨拶を交わしたり状況を話し合ったりと、私にとっても大変いい時間になっています。

開院から15年。住めば都で、初めの頃に比べれば久慈の町も随分開けたと思います。コンビニもできたし、飲食店なども夜遅くまで開いているようになりました。ゴルフの打ちっぱなしだけは、今も早く閉まってしまいますが。

「自分の家族に接するように患者さんに接する」ことをモットーに、これからも健康に気をつけながらスタッフとともに頑張っていきたいと思います。

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小野寺 耕

おのでら・こう

1960年金ケ崎町生まれ。1989年に岩手医科大学医学部を卒業し、岩手県立中央病院の臨床研修医に。1991年4月から1995年3月まで岩手医科大学大学院。同年4月から岩手医科大学附属病院耳鼻咽喉科助手、同年10月から2000年8月まで岩手県立久慈病院耳鼻咽喉科科長。2000年10月におのでら耳鼻咽喉科クリニックを開院。2003年7月に医療法人おのでら耳鼻咽喉科クリニック理事長。

 



屋上に設置した花粉採集器
グーラム型(上)とロータリー型(下)


診療室


子供の遊び場や和室も備えた広い待合室


ネブライザー


県医師会のゴルフ大会で優勝


ゴルフの仲間とともに


愛犬のソラとツーショット

おのでら耳鼻咽喉科クリニック
〒028-0041 久慈市長内町24-147-1
TEL.0194-61-3387 FAX.0194-61-3377
予約専用TEL.0194-61-3901
【診療科目】
耳鼻咽喉科
【診療時間】
月〜土 午前9:00〜午後12:00
午後2:00〜午後5:30(木・土休)
【休診日】
日曜・祝祭日・年末年始