我が家のペット

第7回 岩手郡医師会 高橋 邦尚

“おまえのせいで”

我が家のペット、チワワ。オス。年齢不詳。ペットショップに長く売れ残っていたのを息子が引き取った。どう見てもかなり大きかったが、血統証では3ヶ月(!?)だった。

人間を怖がってプルプル震えていたので名前は“プル”。幼かった頃は、朝になると息子を起こしに2階まで一気に駆け上がっていったものだった。

昨夜、横目で見ていたらソファーから飛び降りた時に確かに一瞬転んだ。何事も無かったように振り返って私を見たが、私は見逃さなかった。確実に足腰が弱ってきたのである。

何しろ我が家に来てから11年、人間で言えば明らかに中高年の域に入る。顔面の毛は白いものが目立ち、腰まわりはフットボールのように丸々と太ってきた。

いわゆる中年太りだと私は思っている。

それでも外見は明らかに子犬の域であるため、当院の若いスタッフは「可愛い!!」といって無理に抱っこしたり、犬用ビーフジャーキーを与えたりする。エサが欲しいばかりに可愛いフリをしているが、人間に抱かれることは心底嫌な性格であることを私は知っている。

女性に抱っこされながら、私の方を見て“うらやましいだろ。ン?”といっているような表情をしているように私には見える。

お前は散歩に連れて行くと、気に入ったメスには尾っぽをふり、気に入らないとガオーとすごみ、時には片足を上げてオシッコをすると見せかけて、実はウンチをしたりする珍芸を披露してまわりの失笑を買うという芸当もみせる。

最近は、獣医に連れて行ってもメタボを指摘され、飼主にも責任があるとチクリと言われた。

挙句の果てに、家内がエサを頻繁にねだるお前をたしなめるついでに、私の腹を見やりながら「あなたもまったく健康管理が…云々」と私まで説教される始末。

そんな時もお前は、横目で“ざまあみろ”と言った目つきをしているように見える。いや、している。

折に触れ、私はこいつを抱き上げて顔を見つめながら「お前だっていつまでも可愛いフリは出来ない時が来るぞ。」といきがる毎日である。

↑ このページの先頭へ

愛犬 プルくん