我が家のペット

第5回 二戸医師会 松井 美紀夫(次女 松井 理恵子 さん)

私の家族の一員であるりん(♀・ロングコートチワワ)は、6年前お腹に虫がいると言われて予定より数日経ってから我が家にやってきた。その時点で気付くべきだったと今なら思うが、彼女は相当な食いしん坊である。ドッグフードでさえも、食事中に近づくと取らないでよねと言わんばかりに警戒モードに入り、大急ぎで食べきる。そんな彼女がみたくてついつい意地悪してしまう。もちろん、ドッグフードだけで満足するはずがない。料理の際はピッタリと横につき、おこぼれをもらい、食事中は鼻をひくひくさせて、くれそうな人の所にいっては満面の笑みで物ごいをする。しかし、食べ物がないと気づいたときの手のひら返しは女を思わせるほどだ。一度だけ食事を取らなくなったことがあった。大好物すら口にせず、うるうるとした目で苦痛を訴える。何か大変な病気じゃないか!? 死んじゃったらどうしよう! 家中が心配し、病院で症状を訴えると獣医さんが一言。「…食べすぎです」。胃薬を飲み、翌日から何もなかったかのように採食活動に励む彼女と、これに懲りて食べ物をあげないようにしようと決意する我が家であった。

そんな彼女ではあるが、傲慢さだけでなく、優しさを見せてくれる時もある。家族の中で元気がない人を見つけるとすぐに駆け寄って、小さな体を擦り寄せたり、私の手の甲や頬を優しく舐めて慰めてくれる。そして家族が喧嘩して険悪なムードになった時、一番心配そうな顔をするのはいつも彼女だ。いつの間にかお互いのギスギスした空気が柔らかくなって、私達は何度彼女の優しさに救われてきただろう。決して人間の言葉をすべて理解している訳ではないが、それでも相手の気持ちを読み取って自分のできることを精一杯しようとする姿は見習わなくてはと思う。

我が家にきて6年。毎日のように驚きや笑い、そして癒しを与えてくれる彼女は、私にとっても我が家にとっても欠かせない存在なのである。

↑ このページの先頭へ

愛犬りんちゃん
愛犬りんちゃん