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特  集
「生命保険を科学する」
ドクターの陥りやすい落とし穴(2)
〜保険期間を考える〜
株式会社インシュアランス・ラボラトリー
代表取締役 佐 藤 正 彦

 前回から、生命保険での気付きにくい間違いや勘違いについてお届けしています。特にお医者様に多い間違いを具体的に取り上げ、解決策をお伝えしています。

■陥りやすい落とし穴 その2■

 「B先生は開業されたばかり。保障を目的に安く生命保険に入りたいため、期間の短い70歳までの定期保険を選ぼうと思いましたが、保険会社からは期間の長い保険でなければ70歳以降の保障ができないからと、終身保険を勧められました」
果たして本当にそうでしょうか?・・・
受け取るときのことを考えてみましょう。
 生命保険は保険金額(保障額)が上がれば保険料(値段)は上がります。また、保険期間を長くすれば保険料は高くなります。開業時は大きな借入れもありますし、家族への保障も考えると、とても大きな保険が必要となるでしょう。
 でも、患者さんが何人来るかわからず経営も不安なものです。経営が安定するまでは、できるだけ保険料は安くしたいですね。そこで、B先生は保障額の大きさを保険期間より優先させようとした訳です。それに対し、保険会社の方は保険期間を優先させるべきと勧めているわけです。70歳以降の保障がなければ、健康で長生きした場合に保険が無駄になってしまうという考えなのでしょう。

因みに、ある大手保険会社で試算すると、
70歳定期保険1億円40歳時加入70,400円/月
終身保険(70歳払済)1億円40歳時加入267,100円/月
同じ1億円の保障でも、保険料が月々20万円近く違ってくるのですね。結構大きな金額です。
 さて、保険金額も保険期間も両立させる方法はないのでしょうか?
 40歳の時に、70歳までの定期保険1億円に加入したとします(下記の図を参照ください)。
図1
 この保険は、70歳までの保障です。この保険に加入していて、もしも71歳で亡くなったとしたらこの保険から保険金は払われるでしょうか? 例え1歳の違いといっても、残念ながら、当然この保険はすでに70歳で消滅しています。
 では、68歳でガンになってしまった場合はどうでしょう。今はガンといってもすぐに亡くなるわけではありません。闘病生活の末、71歳で亡くなったとしましょう。この場合も70歳までの保険では機能しません。どちらにしても1億円は残念ながら支払われません。では、月々20万円、年間で240万円、70歳までで7,200万円も多く払わないと70歳以降の保障は保てないのでしょうか?
★私どものお客様でしたら、そのような場合でも1億円を受取ることができます。
 もちろんそのままでは1億円を受取ることは出来ません。ではどうすればいいのでしょうか。
図2
 68歳でガンとわかった時点で、70歳の保険を例えば75歳まで延長します。専門的には「期間延長」という手続きです。実は、生命保険にはこのような期間を変更する機能が付いている場合があるのです。
 生命保険は、健康状態が悪くなってからでは加入できないのですが、この期間延長という権利は、たとえガンにかかっていても利用することができます。健康状態に関係なく活用できるのです。この機能を使えば、加入時には保険期間を短く、保険金額を大きくして、保険料を安く始めたとしても、後で期間を自由に延ばすことができます。
 ところが、この機能を活用している人を見たことがありません。なぜなのでしょうか?もちろん契約者が知らないということもありますが、実は営業員も多くの人が知らないばかりか、保険会社の人もほとんど知らないのです。そこで事前にこのような説明をしている営業員もいないのです。先生の保険担当者は、このような話をしてくれましたでしょうか?

 この機能は、すべての保険会社の商品に付いているわけではありません。また、保険会社によって若干取り扱い基準が異なりますので、詳細は保険会社に確認ください。

■ポイント■

 将来の相続対策を考えた時に、終身保険のような保険期間の長い保険は有効ですが、保険料(掛け金)とのバランスから必要保障額を十分に取れない場合があります。そういった時には、保険期間よりも必要保障額を確保することを優先するべきです。生命保険は保険加入上の健康状態を害してしまった後は、保障を大きくすることができないからです。保障が一生涯続いてお金も貯まるからといって、とにかく終身保険を勧める営業員を見かけますが、一概に終身保険がよいとは限らないと考えます。
●もしも、先生が現在加入している保険にそのような機能が備わっているか、お知りになりたい方は、いわて医師協同組合までご連絡ください。保険会社、保険種類を教えてくだされば、お答えさせていただきます。
次回、特集は「陥りやすい落とし穴その3〜医療保険及びガン保険は『契約者に注意』が必要です〜」
IWATE MEDICAL COOPERATIVE ASSOCIATION●No.64