事業継続・承継と税務対策について(要旨)

X スムーズな事業承継のために
 揉めないための対策です。いくら相続財産を圧縮して贈与を行って納税資金が出来ていても財産的なダメージを受けなかったとしても、遺産揉めが起こりますと全てが無意味になります。遺言をお勧めします。
 書き方が問題になります。必ず法定遺留分(法定相続分の2分の1)に、そこを侵害するといくら遺言が有効であっても揉める要素になります。若先生に多くの財産を残したいと思っても嫁いだ娘さんにも配慮して、外部に出られた方には換金性の高いもので割合として低くてもいいですから必ず財産として残すというのが留意点の一つです。二つ目はお手紙を書くことです。財産の分配だけ書いたのでは大先生の意図が分かりません。遺産揉めが何で起こるかというと、相続人が各自が勝手に個人の意思を解釈するから纏らなくなります。そういうことが起きないように手紙を残していただく。どんなことがあったとしてもまずご家族それぞれに感謝の言葉から始まって、お子様方それぞれを十分愛しているのだが事業の承継で同じ財産分け与えていったのでは事業承継が出来ないので事業承継者のご長男にこれだけの財産を残したいと書いていただくとあまり基本的には揉めない。
(1)遺言を行ったほうが良いケース
@ 一般的にトラブルが発生しやすいケース
@)子供が居ない場合
  亡くなった方のご兄弟に相続権が発生しますので揉めます
A)後妻を迎えた場合
B)長男以外の子が事業を承継する場合
A 法定相続による分割を希望しない場合
@)事業承継者に充分な財産を残したい
A)子の一部に生前資金援助(開業資金等)を行っているので、遺産を調整し たい
B)どうしても遺産を渡したくない相続人がいる
C)不遇な子供に遺産を多く与えたい
B 法定相続人以外の人に財産分与を考えている場合
@)死亡した息子の嫁
A)特別に療養看護にあたったもの
B)女婿
C)内縁の妻
【質疑応答】
眞瀬理事長:
 遺言の書き方についてお伺いします。保証人はどういう人が良いのか?
回答:
 証人は二人立てなければなりません。禁固刑以上の処分を受けた人や禁治産者は証人になりません。
渡辺秀華先生:
@ 事業承継者が居ない場合も医療法人にするメリットがあるのか?A夫婦とも医師  であって同じ場所で医業を営んでいても二つの医療法人を組織できるのか?Bま  た、子供が別の場所で開業しても医療法人はどう組織すれば良いのか?C直前対  策も相続税を払うより良いのか。
回答:
 社保収入が幾ら以上から、後継者のいない場合は法人かはメリットが無いという意見もあったのですが、収入が幾らであっても法人化の方が給与所得控除が生かせますので必ず有利なのです。但し医療法人化のデメリットは、今は医師国保と医師年金が多いのですが、法人になると医師国保は継続できますが、年金が厚生年金になります。先生、奥様も大体試算しますと60数万円掛け金が上がります。所得税を減らす効果がその金額を上回っていなければメリットが無い。もう一つは概算経費率が使える先生で概算経費率が実額より有利な先生はこれは法人化しても概算経費率使えますが、法人化しなくても良い。後継者がいない場合には、その法人はどうなるかというと解散をするか、第三者に出資持分を譲渡することになります。後継者がいない場合でも廃止届けを出しますので解散と同じですから法人化が駄目ではないのですし、法人を第三者に譲渡したとしても株式を譲渡した時と同じ税率で済み売却益の26%、個人で第三者に譲るとこれは営業権の譲渡になり総合課税で最高税率は50%です。第三者に譲渡する場合は、明らかに法人の場合が有利です。勿論、退職金も受けられますので後継者がいなくても法人のほうが有利です。
 同一施設内での、複数の医療法人は、都道府県の施設基準で違ってくると思いますが、首都圏では認められました。岩手県は分かりません。医療法人の設立の届出も鳥取県は郵送で大丈夫です。厳しい県もありますから、施設基準は保健所の担当の方に相談すればよいと思います。レセプト請求が別なので大丈夫と思いますが。
 従来からの夫婦二人での経営している本院があって、一つの医療法人でありましたが、お嬢さんが開業されたのですが、お嬢さんは最近流行のショッピングセンターで開業され、医療法人のサテライトクリニックという形式で開業しました。大先生のほうがご年配であり、市内地で患者も減少傾向になって従前の役員報酬が重荷になっておりました。お嬢さんは郊外のショッピングセンターで爆発的に患者が増えていましたので、この場合は一つの医療法人で一つの診療所は収入減、サテライトは高収入ということで、結局、バランスがとれ、上手くいきました。
 直前対策は、非課税枠であれば必ずやったほうが良い。110万円の基礎控除の枠でやったほうが良いです。子供さんが3人でそれぞれに3人ずつお孫さんがあれば、110万円でも各人に行えば多額になります。極端なことを言えば赤の他人でも認められます。
 贈与が良いのか相続が良いのか試算して、贈与分岐点といいますが、配偶者の有無、子供さんが人数によって相続が有利なケースと、贈与で税負担したほうが有利な場合が個別に分かれます。きちんとした計算無しに印象で効果がありそうだと思ってやってみて逆効果という場合もありますし、法人化も計算無しに行って上手くいかないという場合もあります。
柏木 柏先生:
 本日の講演を細かく噛み砕いた形で、プリントか何かにして配布していただければ幸いです。特に本日の講演の主題は法人化ですのでこの点について詳細のものを。
午後5時終了
〈いわて医師協同組合常務理事 菅原克郎〉


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