JR遠野駅とその周辺
千葉医院院長 千 葉 純 子

 民話のふるさと・遠野。柳田國男の『遠野物語』で知られる遠野市には、 毎年150万人を超える観光客が訪れています。
 その玄関口がJR遠野駅。この駅は、大正3年4月の岩手軽便鉄道の開通の際に建設され、 昭和25年10月に釜石線全線が広軌化されて開通したのに併せて現在のスタイルに改築されました。 駅舎は、鋼筋コンクリートとコンクリートブロックの併用構造の瓦葺きの2階建て。 ドイツやフランスの田舎に建つ建築様式に見られるコンクリートブロックの目地を生かすことと、 遠野の城下町としての景観にマッチさせるとの意図で建設されたこの建物は、 さながら中世のヨーロッパの石積み建造物を思わせる重厚な造りとなっています。 総面積は約1,000uで、待合室は間接照明とし、事務室は一般照明のほか当時実用化されたばかりの蛍光灯を備えた、 モダンな造りでした。
 また、平成7年7月には、JR東日本が駅を改装し、JR直営の駅併設ホテルとしては第1号となるB&B方式のホテル 「フォルクローロ遠野」 をオープンしました。
(フォルクローロ:エスペラント語で民話の意。JR釜石線各駅にエスペラント語の愛称が付く。)
 さて、観光拠点として、また宿泊施設として人気を博している遠野駅ですが、 駅周辺にも「遠野らしさ」を感じさせるものをたくさん見かけることができます。
 駅の出入口脇のポストの上には木彫りの河童が鎮座し、駅前の公園に設けられた池の中ではブロンズの河童が遊び、 駅の隣の交番は建物全体が大きな河童の顔にデザインされています。さらに、 駅前ロータリーに 『遠野物語』 の碑があり、駅の屋根の鬼瓦にあたる部分には河童の像が配置され、 駅前の信号機の上には観光客を出迎えるザシキワラシの像があるなど、遠野の玄関口に降り立ったその時から 「遠野物語の世界」に誘ってくれます。こんな魅力いっぱいの「遠野」に、 ぜひお越しください。


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