工藤純孝先生を偲んで

 謹んで御霊前に申し上げます。
 工藤先生、 有り難うございました。 ほんとに有り難うございました。
 いわて医師協同組合設立以来10年の歩みには、 いつも先生の強力な引き綱が効いておりました。これからも、残された先生の遺産を大切にしてやってまいります。
 思い返せば、 どんなに難しい問題のときも、 先生は決して困った顔を見せませんでした。 黙ってじいっと話を聞きおえてから、 微笑のうちに、 いつもの決まり言葉 「はい、 わかりました」。 それを聞いて安心していたものです。 大きく打てば大きく響き、 小さく打てばやさしく響き、 みんなを信愛の気分に包んでくれました。
 岩手県医師会会員福祉事業の業務委託調停の成就にも、 豊かな御人格とスケールの大きな見識をもって当たられました。
 又、 近時、 所謂、 ITフィーバーの風潮にも、 流石に常に冷静な対応をくずされることなく、 東京での全国医師協同組合連合会 「マルチメディア促進検討委員会」 でも、 明晰な献策をなされつつあろうと存じておりました。 「マルチメディア調査研究事業」 は県中央会の応援を得て行われておりますが、 先生の重厚な力量関与のうちに、 正にその業を美事に終えようとしているところでありました。 いわて医協584名を含み全国医師協同組合傘下3万有余名の医業家を、 卓抜なIT革新社会対応をもって広く見はるかすべき重要な時期にこそ、 まことに卒然と、 先生は立ち去ってゆかれました。 惜しみても余りある痛恨事であります。
 生前、 たった一度、 真情を吐露されたことがあります。 「寵辱はすべて忘れ、 ひたすら仕事に酔うこと、 これが仕事師の真骨頂、 つまりそれが私のあそびです。」 と。 その折、 手にする盃を越えてきた鋭い視線の輝きを忘れ得ません。
 あらためて、 謹んで申し上げます。
 工藤先生、 有り難うございました。
 御冥福を、 こころからお祈り申し上げます。

   平成13年2月22日
いわて医師協同組合
  理事長 小野寺 弘 之


目次へ前のページへ次のページへ